1.ペット禁止のアパートで犬を連れていた人
社会人になって、しばらくの間住んでいたアパートについてです。
その部屋の間取りは1Kで、キッチンと6畳の部屋に分かれていて、一人住まいとしては申し分ない広さでした。またこじんまりした作りだったので、入居者がやたらに多いわけでもなく、その点でも気に入っていました。エレベーターはありませんでしたが、部屋が2回でしたので、そう気にはなりませんでした。
ところがある日階段を上がろうとしたら、私の先に、犬を連れて上がって行く人を見かけました。
その物件では、犬や猫を飼うことは禁止されていたのですが、それを知らないのかなと一瞬思いました。
しかし契約に関してはきちんと読んでいるはずだし、あるいは入居している人の友達かだれかで、そのことを知らずに遊びに来たのかも知れないと考え直しました。
2.黙ってペットを飼っているようで管理会社に問い合わせる
それから半年近く経って、またその人を見かけました。髪の感じが変わっていましたが、多分同じ人で、同じ犬をまた連れていました。
以前は普通に抱いていたのですが、今度はバスケットの中に入れていました。私と目が合うと、ちょっと目を伏せて、急ぐように階段を駆け上がって行きました。
やはり入居している人の友達かなと思ったのですが、以前犬を連れて来た時点で、注意されているだろうとも思いました、ひょっとしてこの人は入居している人で、ペットを飼えないのを知っていて、黙って飼っているのかもしれないと気がして、大家さんに連絡しようかと思いましたが、こういうのは不動産管理会社に言った方がいいだろうと思いました。
その翌月、その部屋の火災保険について問い合わせたいことがあったので、不動産管理会社に電話を入れた時、ペットの件に関して話題を持ち出してみました。
3.再度管理会社に電話をしたら
すると電話口の人は、初めて知りましたと言い、いずれ大家さんにも連絡しておきますと言って、どの部屋の入居者であるかを私に尋ねました。
実は私もよく知らなかったのですが、ともかく2階の人ではないこと、そして比較的若い女性であることを伝えておきました。
その後もう一度その人の後ろ姿を見かけましたが、今度は犬は連れていませんでした。
それがその人を見た最後になりました。というのも、ひと月も経たないうちにその人は引っ越してしまったようで、3階に住んでいる人の郵便受けから、名前が一つ消えていました。
不動産管理会社に尋ねたところ、私が電話をした後に、別の入居者から電話がかかって来たということでした。
その人は犬に噛まれそうになったらしく、かなり怒って電話をして来られ、しかも、私だって猫を飼いたいのに、自分だけ犬を飼うとは何ですかと言っていたそうです。
4.契約違反のツケ
結局こういうトラブルがあったこと、本来ペットが飼えないのに犬を飼っていたのは、契約違反であるということから、その人には退去してもらったとのことでした。
また大家さんもこれを問題視し、今後このようなことが起こらないように、入居者の審査を少し厳しくするとも話してくれました。
また、今後もし似たようなことがあったら、遠慮なく言ってくださいとも言われました。
本当の話、私も告げ口をしているようでいやだったのですが、明らかにペットが飼えない物件で、入居している人も、ペットを飼いたいけれど我慢している中で、自分だけペットを飼うというのは、やはりトラブルになっても仕方ありません。
それから2年経って、私は転居することになり、また新しい物件探しにしばらく追われましたが、このようなことがあったせいか、契約条項に違反していないかどうかだけは、きちんとチェックする癖がつきました。